某ファミリーレストラン 2010年03月04日(木) 12時00分

 
「や、急に呼び出したりして悪かったね」
「いえ、春休みでヒマですから、全然」
「いいねえ、学生は・・・ あ、好きなもの頼んでいいよ」
「あ、それが・・・ ちょっと二日酔いで・・・」
「・・・いいねえ・・・・・・ あ、お姉さーん、出来るものを14人分ね ・・・あ、ウソウソ ミックスグリルのセットで」
「・・・あの・・・・・・すいませんでした」
「ん?」
「僕の勘違いで、徹さんに迷惑かけちゃって・・・」
「いやいや、そんなことないって むしろ、いろんなことがわかって、こっちも助かったからさ」
「でも、カズさん別になにもなかったんですよね?」
「それがな・・・実はちょっと面倒なことになってて・・・」
「何かあったんですか!?」
「えーと・・・ 結論から言うと、和夫はいま拘置所にいる」
「・・・え? コウチショ?」
「公然わいせつ罪および参考人として拘束されてるんだ」
「ちょ・・・・・・ えぇ!?」
「ま、たいしたことないんだけどね」
「いやいやいやいや! どうなってんすか!?」
「じゃあ、順を追って説明しよう ・・・最初のきっかけは、和夫が野グソをしていたことにある」
「野グソ!?」
「な、成義くん ・・・ファミレスでそんな大声・・・」
「え! ・・・あ、すいません・・・・・・」
「うむ ・・・で、野グソをしているところを、運わるく警察に見つかった これが『公然わいせつ罪』での逮捕」
「なにやってんの・・・カズさん・・・・・・」
「もし、これだけで済んでたら、すぐに帰らせてもらえるはずだったんだが・・・」
「『参考人』ってことは・・・ なにかの事件に巻きこまれたとか?」
「ん、鋭いね そのとき和夫は、AV撮影の仕事をしてたんだ 野外ロケのね」
「ロケ中に野グソて・・・」
「で、どうやら過激な内容の撮影だったらしくてね・・・ 現場を見た一般女性が、警察に通報しちゃったんだとさ」
「つ、通報・・・ きのう僕も寸前まで・・・・・・」
「ん?」
「あ、いえ、なんでも・・・」
「えーっと、だから、和夫が野グソで捕まるのと、それとは別に通報を受けた警察が来たのとが、同時に起こっちゃったわけね」
「こんな身近でそんなこと起こるなんて・・・」
「で、ややこしい話はこの後で・・・」
「はい」
「撮影してたスタッフ全員、逃げちゃったんだ」
「え、逃げた?」
「あー、なんていうか・・・その・・・AVってさ、基本的に違法なんだよね」
「そうなんですか?」
「“基本的には”ね だから、和夫が事情聴取されてるの見て、あわてて逃げちゃったんだろうな」
「そんな・・・」
「えーと、だから要するに、一般人からの通報に関しては、まだ未解決ってわけでさ」
「・・・あ、それでカズさんが拘束・・・・・・」
「そうそう」
「じゃあ、カズさんにまた別の罪・・・っていうんですか? その、再逮捕になるとか?」
「ま、それはないと思うよ」
「え、でも違法って・・・」
「くわしくはわからないけど、たぶんスタッフが捕まるなり自首するなりして、ちゃんと事情を説明すれば大ごとにはならないみたいよ」
「そうなんですか」
「ああ 同期の警察官から聞いた話だから、信用していいと思う」
「・・・・・・あの、拘置所って、どこにあるんですか?」
「あ、和夫に面会する?」
「はい」
「じゃ、ちょっと説明するけど・・・」