成義くん速ホゥ!

 
「和夫です」
「マチ子でーす! あ、まだ試験休みだから、こっち残ってまーす!」
「はい、今日も成義くんの妹さん、マチ子先生にお相手してもらいますけど」
「・・・先生?」
「今日は、失踪中の成義くんの続報をお届けしたいと思います」
「なんか『大阪にいます』とかメール来てんの 超うけるし!」
「そう、なんと彼は自転車で大阪まで行ってしまったようで」
「チャリで大阪とか! うける!」
「そこでタイヤがパンクして、何を思ったかはわかりませんが、そこで何もかも吹っ切れたようです」
「大阪でパンクとか! バカス!」
「というわけで、2〜3日すれば帰ってくるようなので、ご心配してくださった皆さんにご報告までとさせていただきます」
「あー、マジうけるんだけど ナルナル」
「そんなこと言いながら、マチ子さんも兄貴のこと心配してたんだろ?」
「え、べつに だから『帰ってくるよ』って言ってたじゃん」
「でもよ、マメにメール返してたりしてただろ」
「そんなの普通だし 逆に、返さないとか、ありえなくね?」
「ふーん・・・ いい話なのか、現代っ子の常識なのか、イマイチわからんな・・・」
「あ、せっかく大阪行ったんなら、ジャニショで買いものしてもらお」
「ジャニショ?」
「ジャニーズショップ」
「なんだ? ハロショみたいなもん?」
「たぶん」
「初めて聞いたけど、考えればありそうなもんだよな」
「あ、ごくせんのポスターも写メ撮ってきてもらお まだあるかなー」
「ていうかマチ子さん、携帯でメール打つのすげー速いな」
「普通だし」
「いやいや、指の動き凄ぇじゃんよ 攻殻機動隊のオペレーターみたいだったもん」
「なに? それ、褒めてないでしょ」
「そんなことないですよ マチ子先生」
「さっきから“先生”とか、意味わかんないし」
「ボインにターッチ! みたいな!」
「・・・もう帰る」
「あ! ちょっと待った もう少しだけ待ってくれ!」